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記憶が蓄積された場所にこだわり展示を企画しています

2015年に、銀座奥野ビル306号室プロジェクト(奥野ビルにあった元美容室の一室を維持する活動)に参加しました。この部屋には、神社で受けたお札、床材をテープで補強した跡、熱中症予防のための貼り紙など、住んでいた方の痕跡が色濃く残っています。

その部屋で過ごしたり、イベントの準備をする中で、ふと前の居住者をなぞっている自分に気づきます。椅子に上ってお札を貼ったのだろう、こうして窓辺に座って外を見ていたんだろうなど。

そのような新たな記憶の獲得が306号室を使っている者にとっては、ある種のギフトのようにも思えます。と同時に、かつて引っ越し先に馴染もうとしていた小さかった自分の記憶とも繋がります。例えば、布団に入った時に見える天井の板の節の位置を覚えようとしたことなど。

記憶が蓄積された場所は自分の中で新たな化学反応を生み出します。様々なことがright timeかつright placeに重なって、そのときの自分にしかできないこととして思いつくことも多くあります。それをどうにかして形にして、誰かに見てもらいたい。とりわけ、かつて住んでいた方に。そのような妄想が原動力となり、ギャラリーではない空間で展示活動を続けています。

野村とし子

展示略歴

2022年PRIVATE HOUSE 生きられた家 を主催(練馬の民家)
2021年〜The Kitchen Showを主催(奥野ビル306号室)
2021年Mirrors And Windows / The Shape Of Images To Come ー ミラーズ・アンド・ウィンドウズ/来るべきイメージ 展を主催(奥野ビル306号室)
2021年「FISSION(分裂) and FUSION(融合) − POST/PHOTOGRAPHY 2011-21 3.11から10年目の、写真の今と未来」展を協働主催(奥野ビル306号室)
2020年AirT MeetUpを主催(奥野ビル306号室)
2015年〜いくつかのイベントを主催(奥野ビル306号室)
2013年猫のチカラ展覧会を協働主催(大岡山記念館)